Monthly Archives: 2月 2017

建築プランとは生活を想像すること

今朝はプレゼンテーションでした。

 

ご両親が住みながら、一族が集まる住宅というより別荘のような建築のご提案。

 

未来へ向けて住宅という枠を超えたご要望に、プラン提案までにお時間をたくさんいただきました。

 

さまざまなシチュエーションを考え、想像し、想定しながらプランを考え続けました。

 

ご要望に一部曲面の壁というものもあったので、巻貝のようなイメージを持ちながら、親族が集まる快適な空間というものを模索した結果、くつろいだり、楽しんだりする円形の空間を中心に、外周に向けてプライバシーレベルを高くする計画としています。

 

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内部空間を考えながら、外観のバランスを整えるのに何度もプランを調整しましたが、しっくりくるバランスにおさまり建築として定着させることができました。

 

お施主様にも気に入っていただき、プランの考え方にもご納得いただけたので、ひとまずほっとしました。

 

今回のプランで改めて感じましたが、お施主さんのご要望を深くくみ取り、建築の使用の仕方までを提案することが大切です。

 

プランを考える我々が想像の中で最初にその建築を使用するので、まず自分たちが納得しなくてはなりません。

 

部屋の広さや見た目は、あくまでどのように暮らしたいかということから導かれるもので、それが先立つような建築は住む人や使用する人が見えない、云わば商業的建築手法ということであると思います。

 

住まい手や使用する人のことを深く考え、施工してくれる方々と研鑽を重ね、唯一の素晴らしいものへ導くのが我々の存在意義であり、建築に対する最高のリスペクトであると考えます。

 

時間や労力は掛かりますが、少しでも素晴らしいと思う建築を造り続けたいと思う気持ちを高めていきたいと思います。

 

 

 

枚方市三矢町という場所

昨日は、朝から姫路にて新築工事中の美容院の構造材の打ち合わせを行い、その足で枚方市三矢町へ向かいました。

 

特別な場所。

 

初心に戻れる場所。

 

京街道(大坂街道)、大阪と京都の間に位置する宿場町。

 

私にとっての枚方とはこの三矢町のことです。

 

両親は神戸と明石の出身ですが、私はこの町で生まれました。

 

時折訪れては、懐かしくもあり、いろんな新しい気付きもある。

 

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まずは、意賀美神社で挨拶をし、京街道を見下ろすことのできる豊臣秀吉が建てた御茶屋御殿跡で一息。

 

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その傍らには、100本余りの梅林もあります。

 

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子供のころは梅林など興味もなかったし、御茶屋御殿跡があったということも意識に残っていない。

 

しかし今はとても素晴らしい場所だと感じることができる。

 

歳を重ねると、ものの見方というものは当然変わっていくけど、幼少期に潜在的に素晴らしいものだと植えつけられるものが存在することをこの場所に来て認識できる。

 

お寺の数が尋常じゃないくらい多く密集しているのも、他の街をしらなかったので、それが普通で何の疑問も持たず、お寺の瓦屋根にキン消しを投げては転がって落ちてくるのをキャッチするのを楽しむ罰当たりな遊びをしていました(笑)

 

今でもロビンマスクが瓦屋根の上に止まって落ちてこず、登下校のたびに屋根上のロビンマスクの安否を気にして見上げていたのを覚えています。(ある日無くなっていて、ロビンマスクがどうなったのかは未だに分からないままです。。。)

 

そんなことを思い出しながら、車が走ることの困難な細い道を一通り散策すると、小学校の同級生が営む「塩熊商店」へ挨拶に伺います。

 

江戸時代からある商店だとは、子供の頃は知りもしなかったし、この街が歴史深い街だとも知りませんでした。

 

そんな歴史ある街並みが、時代とともに変わっているのがすごく分かります。

 

時間をおいて訪れるので、その変化を感じやすいのでしょう。

 

そんな中、塩熊商店さんが、枚方三矢の活性化に邁進されています。

 

私が住んでいたのはマンションで、当時複数の集団登校のグループがありましたが、今はゼロになってしまったということを聞き驚きました。

 

しかし小学校の子供の数は増えているということです。
駅前にマンションが建ち並び大阪市内や近郊で働く人が増えているという理由です。

 

これはとても複雑な心境なのですが、幼少期に私が住んでいたマンションも当時は、近郊労働者のために建てられたものだと思うことです。三矢町にふさわしくないという反対があったのだろうと今では想像できます。。。

 

古い場所は新しくなり、いずれ他の町と変わらないベッドタウンになってしまうのでしょうか。

 

塩熊さんにて、今でも他とは違う趣のあるこの場所は、私の感性と一体であり、神戸に移り住んでからも素晴らしいと思い続けることのできる歴史残るこの町をなんとかしたいという思いを語らせてもらい、気づくと3時間ほど話こんでしまいました。
(お忙しい中申し訳ない。)

 

建築は常に歴史とともにあり、建築をとおして協力していければと思います。

 

自分が幸せになるための素晴らしい感性を育んでくれたこの町への恩返し。

 

そして、同時にロビンマスクの行方も突き止めることができれば幸いです(笑)

 

 

設計終盤にして二度目のプレゼン

現在設計中の住宅で、ほぼほぼ図面も仕上がっているのですが、どうしても建物の外観に納得いかないのです。

 

設計の最後で外観を変更すると図面の過半を修正しなければなりません。
それはかなりの手間を要するわけですが、自分が納得しない以上致し方ありません。

 

お施主さんには納得していただきながら図面も進行しているのですが、どうしても自分の中で納得できない感じがあり、悶々としていました。

 

今日は時間がとれたので、スタッフにその思いを打ち明け、もう一度考える時間を設けました。

 

建物のあるべき姿というものをもう一度再構築し、同時にその形態に対しての仕上げも考えました。

 

お施主さんの要望を踏まえることはもちろんですが、建築としてどうか?ということを考えるのが我々の仕事です。

 

設計も終盤ですが、もう一度お施主さんにプレゼンさせてもらおうと思います。

 

一人のお施主さんに二度のプレゼンテーションは初めてです。

 

一度お施主さんに思いを伝えます。
どう受け止めてもらえるか分かりませんが、よい建築を造るには必要なことだと思います。
あともう一歩。火事場のクソ力というところでしょうか。

 

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自然光を考える

建築物にある自然光とは数多くの種類があり、それぞれの状況により使い分けられる。

 

敷地の方位、周辺状況、建物のプランにより、自然光の扱い方は変わってくる。

 

南に開けて周辺に遮るもののない敷地は都心部ではまず無いに等しい。

 

そういった場合にどのように自然光を取得するかというのも建築プランの大きな要因になってくる。

 

現在工事進行中の物件では、1階に面して大きな屋根を備えたテラスがある。この屋根付テラスはお施主さんのひとつの要望であるが、この屋根付テラスがあるから室内は暗くなりますでは、建築としてはあまりに短絡的である。

 

要望は叶えつつ、自然光を取り込む方法やプランを考え実現しなくては我々の存在意義はないに等しい。

 

この物件では、テラスに面した居間と居室に吹抜とハイサイドの窓を設けることで、この問題を解消した。

 

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<ハイサイド窓>

 

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<吹抜空間>

 

当然、建物の外観をよりよくするのと2階の間取りも成立するように同時に全てを考える。

 

これこそ短絡的に吹抜やハイサイド窓を採用するといのは愚の骨頂である。

 

太陽の動きや日射角度を熟慮して窓の配置を考える。

 

こういった光の取り込み方で大きく建物の空間が違ってくるので、プラン上よくよく考える必要がある。

 

更には冬季の日射取得率を上げるということも、暖房負荷を軽減する大きな要因である。

 

すべて総合的に計画できるというのは、自由設計の大きな大きなメリットである。

 

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