保育園の照明計画

保育園の竣工写真撮影を行いました。

 

神戸の高台に建つこの建築は、神戸の風景を楽しみながら、爽やかな風を感じながら、一日を過ごすことができる場所です。

 

道路から保育園の建屋に辿り着くまでに、8m弱の高低差を、エレベーターと空中歩廊で解消しています。

 

暗くなってくると、そのアプローチにポツポツと灯る照明が、暖かく迎えてくれます。

 

 

保育園に限らず、照明計画によって建築の様相は、大きく変わります。

そして、そこにいる人たちの感覚も大きく変わります。

 

住宅の照明計画をするときは、お施主さんに明るさの感覚を確認します。

全体的には、落ち着いた灯りで、必要な場所のみ明るくというように、なんでもかんでも明るくするということはしません。

何も考えず、全体的に明るく計画されているお家を見ると、ここ事務所!?って思うことがあります。

 

明るさの意味を表現しないと、その違いを感じることはありません。

その違いを感じることができなければ、その違いについて考えることもしないでしょう。

 

照明とは、明るさではなく、被写体の見え方と考えた方が計画しやすいように思います。

 

保育園の場合、保育室の至る所でお絵かきしたり、絵本を読んだりしますから、全体的に明るくしておく必要があります。

特に空間がつながっている建築内の構成だと、全体的に同じ程度の明るさにしておかないと、十分照度を確保している場所でも周りより照度が低いと、相対的に暗く感じでしまいます。

 

そして、今回のこの保育園のように、全体がつながっている空間の場合、一番明るくすべき場所に合わせて、全体の明るさを統一するのです。

 

 

あとは保育園という特性から、色温度3500Kの照明を使用しています。

 

落ち着いた雰囲気の時は、2700Kで電球色のものを使用しますが、それよりも色温度が高く、ほんのり温かみを感じる程度の色温度として、さっぱりとした明るさとしています。

 

このように、状況に合わせて、表現したいものによって、適切な照明を考えて計画することが、建築の意義を完結させるための、要であるでしょう。

 

高い天井部分の照度の減衰具合に、少々ビビッてましたが、自分を信じて押し通して成功でした。

 

これからも、光への感覚を高めて、建築を深めていこうと思います。

 

皆さま、くれぐれもただ明るくというだけで、照明を決定しませんよう、光を楽しんでください。