建築におけるシンプルという概念

建築においてよく使われる言葉、シンプル。
言葉の意味とおり、単純な、簡素な、飾られていない、構成する要素を減らすということです。

 

私の思うシンプルは、形状を構成する要素が少ないとかすっきりしているとかではなく、何をわかりやすく表現しているかであると思います。

 

表現のないものは、要素が少なくてもシンプルとはならず、ただ何もない何の変哲もない建築であると思う。

 

白と木のシンプルな外観というご要望をいただいたので、今回提案させていただいたお家では、内部空間を考えた上でそれに並行して、建物外観の白い壁が際立つように窓の配置を考え、壁が凹んだ部分の奥行き面に板貼りを施すことで、白い壁を面としてより強く認識できるように考えています。
壁を強く表現することで、それに包まれる空間が漏れる感覚が得られる。
白い壁の中から漏れ出る温かい空間。

 

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建築におけるシンプルの概念は、形状を整えるということではなく、どのようにシンプルに思想や形状や空間を表現するかということが、建築におけるシンプルの概念であると思います。