解体現場に現れた芸術作品

2店舗同時の設計を進めています。

 

現在その場所となるところは内装を解体してスケルトンの状態にしている最中です。

 

 

古い建物を解体していると、予想だにしないことが眼前に現れます。

 

この写真を見てお分かりになるだろうか?

 

 

丸太梁を支えている柱が切断され、梁にぶら下がっているように見えるこの写真。

 

極端に天井の低いところをばらして現れたこの構造。

 

改築を繰り返してるうちに、柱を抜かれているという恐ろしい状態は、解体現場ではよく見る光景だが、今回は少し違っていた。

 

よく見てみよう切断された柱の下端にワイヤーが張られている。

 

ワイヤーを両端の柱にアンカー留めし、この切断された真ん中の柱をワイヤーで持ち上げているという構図だ。

 

そもそも切断された柱は、梁ときちんと接合しておらず、添え木でつなげているだけの状態。

 

これでは梁から柱に力が伝わらないし、地震などの揺れに対してはワイヤーもろとも何の意味もなさないことが一目でわかる。

 

本来補強梁をいれ丸太梁と緊結するところをワイヤーで代用したつもりなのだろうが、案の定切断された柱を触ると。。。簡単にぐらぐらと動く動く、このワイヤーは全く意味をなしていないのである。

 

いやっ、待てよ、これは構造的な要素ではなく芸術作品なのかもしれない。

 

重力を無視するようなテーマの芸術作品ではないか。

 

柱も途中で抜かれたものではなく、新築当初からこの状態!?

 

解けてきた、芸術を愛する大工さんが、施したインスタレーションだったのだ。

 

それならこの偉大な作品を称えないといけない。。。

 

 

 

とはいえ、失礼ではあるかも知れないが、丸太梁の構造検証はしておこう。

 

芸術というものは思わぬところに潜んでいるのだと実感したのでした(笑)

 

 

 

 

 

カテゴリー : pickup | 芸術

投 稿 日 : 2018年1月27日