建築デザインを考える②

意味が備わらないデザインはしたくないというのが、ひとつの拘りです。

 

建築空間には必ず意味があるとおもうので、そこに備わるものにも意味があるべきだと考えます。

 

事例を紹介します。

 

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神戸北野坂の本格中華料理店「中国菜群青」の店舗内にあるVIP席へ上がる階段のスリットから見える壁。
濃紺と土色の左官仕上げによるこの壁のデザインは何を意味しているか分かるでしょうか?

 

このお店のマスターコンセプトは深海。
そこにある唯一の段差。
この部分はどのような意味があるのかと考えました。VIP席へ行く人だけが真正面に見る壁。

 

深海にある段差。
イメージしたのは深海の地層でした。
よく知る積み重ねられた地層ではない。
深海の底にある地層は、きっと、動き、歪み、そして分離し、きっと地球とともに、永い年を重ねて、私の知らない表情となっているだろう。
それは美しく、神秘的なもので、しかし控えめなものであると想像しました。

 

階段下というのはちょうど良い場所。
VIP席に赴く入口にあることで、その場所を未知の場所という意味にしたいと思いました。

 

何度も描き直した末に最終的に描き上げたスケッチは、極力地層というものを意識せずに、ふと手の赴くままに描いたA4用紙の端の5センチ角ほどのスケッチだったのですが、左官職人さんがその小さなスケッチを、左官壁へ投影してくれました。
力強いとも優しいともなんとも形容し難い、デザインとなりました。

 

デザインの意味とはそれがある空間にとってとても重要です。
「中国菜群青」へ行かれた際には、絶品料理とお酒をいただきながら、ふと目にしていただければと思います。

 

 


カテゴリー : 日本建築

投 稿 日 : 2016年7月1日