カテゴリー別アーカイブ: 日本建築

光悦寺

京都の鷹ケ峰に光悦寺というお寺があります。

 

京都には3年半ほど居住しましたが、数多くのお寺、神社を拝観したにも関わらず、恥ずかしながら光悦寺には訪れたことがありませんでした。

 

仲良くさせていただいている京都出身の方のお勧めで、先日行ってきました。

 

紅葉した葉はほとんど落ちており、観光客も少なく、私はいかにもというのより、この感じのほうが好きです。

 

元々ここは、徳川家康が、本阿弥光悦に与えた土地です。

 

そして光悦は、この土地に様々な多くの工芸職人と居住し、芸術村としたのです。

 

本阿弥光悦自身は、書、陶芸、漆芸、茶の湯などを行う、マルチアーティストでした。

 

作品である、楽焼白片身変茶碗「不二山」、舟橋蒔絵硯箱は国宝となっています。

 

彼が携わった作品の中で、私がもっとも心躍らされたのは、「蓮下絵和歌巻」という全長25mにおよぶ巻物。

 

俵屋宗達が蓮の下絵を描き、その上に光悦が強弱大小の文字を書いた合作。

 

同じ時代を生きた最高峰の職人二人が互いにリスペクトしながら仕上げた作品は、その当時を思うと鳥肌が立つとともに、新しいことへの挑戦という意欲が感じられ素晴らしいと感じざるをえません。

 

こういった優れた先人たちが様々なものを切り開いた後に我々は生きているという有難さも感じます。

 

仕事の合間ではありましたが、久々にこういった時代文化に触れる機会というのは、貴重なことです。

 

それに触れて感じることは人それぞれですが、何かを見直すいいきっかけになるのではないでしょうか。

 

 

 

 


旧三井家下鴨別邸

京都の住宅打ち合わせの合間に、旧三井家下鴨別邸を見学してきました。

 

学生時代に下鴨に住んでいたのに、恥ずかしながらまったく触れずにいた建物です。

 

建物の周囲は塀で囲まれ、外部からはなかなかその全容を拝むことはできません。

 

建物の見学の前に、京都で好きな場所のひとつ葵橋から風景を楽しみます。

 

 

15年前に住んでいた時から変わらず、なんとも心が落ち着く美しい景色です。

 

清清しく気持ちも若返り、いざ旧三井家別邸へ。

 

 

1925年に三井家の別邸として建築された建物は、1949年に国に譲渡され、2011年に重要文化財となり、現在京都市が管理しています。

 

 

見学で感じたことを総評すると、晩年の大人の全くイキりのない脱力してもなお繊細な建築。

 

現在の建築と決定的に違うところは、全体に対する廊下の割合です。

 

部屋をつなぐだけの廊下ではなく、廊下にも空間としての意味をもたせている建築の質の高さに感服しました。

 

 

 

 

様々な要素のある素晴らしい建築ですが、すべて書くと長くなるので、ひとつだけ紹介します。

 

 

見てのとおり浴室。

 

一坪ほどの空間に半畳ほどの浴槽。

 

方形屋根の天井の中央に四つの円を組み合わせたような換気口があります。

 

デザインしましたというようなわざとらしさを全く感じさせないほど、すさまじいバランスです。

 

壁の羽目板と天井の羽目の働き幅が違います。

 

同じ貼り方向なのに、なぜ揃えないと思いきや、木製建具の竪子と天井の目地が。。。

 

壁羽目板四枚に対して、天井三枚。

 

建具と天井の間に壁を挟むことで、分からないようにリズムを成立させていることに気づきました。

 

天井と建具の組子の割りが細かくなると、うるさくなるのをうまく解消しているのだと感じます。

 

このようにささやかかつ技巧に満ちた建築は建築に携わるものにとって活力と希望を与えてくれます。

 

とても良き時間でございました。

 

恐悦至極にございます。

 

 

 

 

 


ついに恐竜と建築の聖地へ①

お盆休みをいただいて家族で旅行に行きました。

 

行き先は、私にとっての聖地があります。

 

いままで何度か訪れる予定があったのですが、都合が合わず行けず終いだった場所。

 

そしてこの度、ついについに訪れることができたのです。

 

さあ、遠くに見えてきました、銀色の卵。

 

 

もうお分かりでしょう、「福井県立恐竜博物館」です。

 

恐竜についていえば日本随一の場所です。

 

 

入る前から高揚感と期待感でいっぱいです。

 

どのような展示方法で、恐竜との距離感をどう感じることができるのか。

 

展示に対して、建築はどのようなありかたなのか。

 

故・黒川紀章氏の設計は、恐竜好きの私にとってどう感じるのか。

 

正直、恐竜好きな私にとって、このような建築を設計できるということに強い嫉妬心を抱くのである。

 

そして、勝手な対抗心が芽生えるのです。

 

この濁った気持ちを綺麗に洗い流してもらいたい、そんな願望もありました。

 

エントランスホールはさほど広くなく、すぐ正面に大きな吹抜とそれを囲む回廊が広がり、地中深くに降りていくエスカレーターが別世界へ赴くようなミステリアスな感覚に包まれます。

 

 

最下にもぐりそこから地上に上がってくる展示経路。

 

異世界から徐々に現世にもどる、そんな分かりやすくも想像没頭する脳にやさしい計画。

 

山に建築されて、その高低さをみごとに建築空間に活かしている、無理を感じない立体的な素晴らしい空間操作です。

 

建物に一歩踏みこんだだけで、期待感が膨れ上がる素晴らしい建築。

 

まだエントランスに立っただけなのに、爆発的に感じることが多い。

 

恐竜好きということもあるのだろうけど、日本随一の恐竜の聖地であることに揺ぎ無い強さを感じる。

 

この時点で入館する前の、私の濁った気持ちは綺麗に洗い流され、純粋にこの建築空間に身を投じることができることになっていたのです。

 

さてさて、博物館の導入部で、既に書くことが飽和状態。

 

肝心の恐竜については、また次回に。

 

 

 


屋外照明シェード強度アップ&視認性アップ

先日OB客様から、屋外門柱の照明が破損してしまったという連絡を受けました。

 

その照明はグランデザインのお手製照明でした。

 

様々な照明を検討した上で、その場所にふさわしいものは、製作するしかないという答えにいたり、屋外でも裸電球のようにシンプルに透明に光るシェードを造りました。

 

裸電球をそのまま屋外で使用すると、漏電してしまうので、LED電球を覆うように白熱電球のガラス部分をシェード代わりに改造したものでした。

 

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シンプルでやさしく光る照明はこのお家の入口に静かな境界をもたせてくれていました。

 

ただ強度と昼間の視認性に問題があり、宅配業者さんが気づかずに破損させてしまいました。

 

強度面では、ガードを付けるなど検討しましたが、やはりこの裸電球の形状に拘ることにしました。

 

しかしこの形状で強度を上げるのはどうしたものか。

 

そこで試用したのが、エポキシ樹脂です。

 

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エポキシ樹脂でガラスの表面と裏面をコーティングすれば、強度は格段に上がるはずです。

 

コーティングしたガラスを硬いもので叩いても、ヒビは入るけど、エポキシ樹脂皮膜を破ることはできません。

 

さて事務所でスタッフ全員でどのようにするか相談しながら、実験を繰り返し、3パターン製作することに至りました。

 

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№1 WHITE BUNNY
№2 GORDEN ROE
№3 TASOKARE (誰そ彼。映画「君の名は」の主題ともいえる言葉。黄昏。)

 

さあ、なんのことか分かりませんよね。

 

内容の説明はまたのブログで。