ホントにこだわりの連続です。
どこから見ても、「いいなぁ~」と思えました。
これだけの大規模な建築物で、これだけの表現をするのは、並大抵の設計時間では叶わないでしょう。
そして、最も見ておきたかったのが、この劇場の客席部分でした。
写真などで見ることの多かったこの空間を、実際に体験しておきたかったのです。
写真を見ていて、想像が膨らんで事前に過大評価してしまうこともよくありますが、素直な気持ちでこの建物を見れて、ここに来れて良かったと思いました。
壁はガラスモザイクで、天井はアコヤ貝を貼っています。
このアコヤ貝はごく稀に客席に落ちてくるそうです・・・。
そして結構イタイらしい・・・。
そこら辺の建築物なら、樹脂系の接着剤等を上塗りして補強するなど、安全面を第一に改装するでしょう。
この建物は剥がれ落ちた所だけ、新しく貼ってそのまま使用しているそうです。
「うかつに改装などしてはいけない。」そう感じるのでしょう。
劇場内を案内してくれた方が、「この間、殿下と雅子様と愛子様がこの劇場で観覧されましたよ。」
「そして、この座席に座られました。」と目の前の椅子を指さしていました。
座ってもよいものかどうか
思いもよらない急接近に困惑しましたが、とりあえず愛子様の座られていた席に座りました。
すると、座った瞬間、天上の方から爽やかな声が聞こえてきました。
「ソナタハ ナゼ コチラニオラレルノジャ」
「えっ建築を学ぶためです・・・。」
「ソウカ、ワラワモ タテモノヲミルノハ スキジャ。」
「はぁ・・・そうですか。」
「キニイッタ ソナタ ワラワノ ハナムコニナレ。」
「こっ、困ります愛子様っ
」
と、このような声は聞こえてきませんでしたが、なんとも落ち着くお座席でございました。
あえて、この空間を言葉で表現するなら、海底の光が僅かしか差し込まない静かながら、上昇するための期待を持つ空間・・・そんな感じでしょうか
ガウディの表現に似ている・・・とも感じましたが、こちらの方がより繊細な日本人的な感覚を受けました。
百聞は一見にしかず。百見は一訪にしかず。
建築はこれに限ります。
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日生劇場 2
日生劇場 1
東京滞在の最終日に日比谷にある日本生命の劇場「日生劇場」へ行きたいと思いました。
前々から行ってみたかったのですが、予約が取れずに中々入ることができませんでした。
今回もこの東京に来る1ヶ月ほど前から、チケットを購入しようとしましたが、満席でダメでした・・・。
「ジェーン・エア」という公演をやっていました。
主演は松たか子さんでした。
チケット購入は諦めました・・・。
でも、なんとかして中に入れないかと思って、ダメ元で見学のお願いをしてみました。
すると、偶然にも他の人が見学の予約をしていて、それに便乗させてもらえることになりました。
何でも言ってみるもんですね。
何故、この建物にこだわるのか
この建物は日本を代表した建築家、村野藤吾さんによって設計されました。
中を見ると、その意味は分かると思います。
1963年に開演したこの劇場は、当初の姿をほぼそのまま残しています。
村野藤吾さん亡き今でも、MURANO designの許可がないと、勝手に建物の一部でも変更することはできないみたいです。
ゴミ箱ひとつでも勝手には変更できません。
座席案内図の各色に至るまで、許可がないと変更できないそうです。
では中に入ってみましょう。
<エントランス>
<エントランス正面のガラスの光壁>
<階段:鉄板に踏み板を溶接して造ってあるが、一体整形のように見せるため、繋ぎ目が分からないようにしています。>
次回につづく・・・。