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舐めまくりの部屋

舐める光。。。建築業界ではこういった言葉を使うことがあります。

 

光に向かって舌を出してペロペロ舐めるということです。

 

嘘です。

 

光が天井や壁面を舐めるように広がるという意味として使います。

 

今日、無事に完了検査を終えた住宅の洋室で見事に舐めてました。

 

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天井の勾配と窓との高かさが絶妙なときに、窓からの光が天井を舐めます。

 

この写真の窓は北面の窓です。

 

北面だけど、ここまで舐めます。

 

窓からの光が上方向へ広がるというのは、通常考えないことですが、直射日光が差し込まない拡散光のときに顕著にこの現象が起こります。

 

もうひとつの写真は吹抜に面した南面の開口です。

 

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こちらもやさしく天井を舐めています。

 

吹抜を介してなければ、直射日光が強すぎて拡散光の広がりが分かりにくいので、こんな分かりやすくはなりません。

 

このお部屋は南から北から舐めまくりの部屋です。

 

ペロペロペロペロ舐めまくりの部屋です。

 

このやさしい光の中、豊かに過ごしていただければと思います。

 

工務店さんのキレイな仕事のおかげで、キレイに舐めることができました。

 

感謝感謝です。

 

 

 

東京建築探訪

偉人の建築に触れるのは、建築を考える上で最も重要なことであり、学びの基本であると考えています。

 

忙しくてそういった時間が減ってしまっているのを感じてはいますが、合間をみて訪れて感じるようには心がけています。

 

今回は、世界的有名建築家の磯崎新さんの処女作である木造住宅に訪れました。

 

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美術家である吉村益信氏のアトリエ兼住宅として1957年に建築されました。

 

白いモルタル塗りの外壁から、「新宿ホワイトハウス」と呼ばれ、今はカフェとして使用されています。

 

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カフェとして中に入ることができるというのは、とてもありがたいことで、住宅として建てられた場合は外観しか見ることができないということがしばしばあります。

 

中に入りゆっくりとカフェオレをいただきながら、その空間を感じることができ、とてもよかったです。
そして、イタリアのナポリのユースホステルで同室になったドイツ人が、磯崎新氏のことをすごいすごいと絶賛していたのを思い出しました。
ドイツにも名建築を残す磯崎新氏の処女作に触れるというのは、とても貴重なものです。

 

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寸法を意識しているんだろと感じさせる空間の容積はとても心地よいもので、建築の気持ちよさというものを感じることができます。

 

時を越えて活躍する建築というものは本当に素晴らしいです。

 

 

 

 

室内音響計画

設計中の住宅で、室内音響について計算しています。
建築において防音や遮音は比較的簡単で何度かそういった部屋を造ってきました。

 

心地よい音となれば、非常に難しく、建築の仕上げのバランスが重要になります。

 

今回は音響設備を設置する室が、リビングダイニングルームという計画なので、非常に複雑になります。
まずは、同等の室容積の整形な直方体の室として、適切な残響時間の設定のもと、各室内仕上げによる吸音量の検証を行いました。

 

セイビンの公式を使用した簡単な計算ではありますが、必要吸音量を算出し、想定した室内仕上げで吸音量がどれくらい足りないのか計算します。

 

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各仕上による吸音率とその部分の面積を乗じたものを足し合わせていくと、必要吸音量の半分にも満たないことが分かりました。

 

この結果は、最適な残響時間に比べ、倍以上も残響時間が長いということになります。

 

最適な残響時間に近づけるためには、吸音力の高いグラスウールの壁などをバランスよく配置するという対策が必要です。

 

計算上では、床を除く天井、壁の表面積の25%においてグラスウール32k厚25mm相当の壁を設置しなくてはならないという結果になりました。

 

最適な音響と、最適な室内仕上による空間の創出がうまく融合するところを見出すのに工夫が必要です。

 

これが建築のおもしろさでもあり、悩ましいところでもあるのです。

 

 

 

 

建築プランとは生活を想像すること

今朝はプレゼンテーションでした。

 

ご両親が住みながら、一族が集まる住宅というより別荘のような建築のご提案。

 

未来へ向けて住宅という枠を超えたご要望に、プラン提案までにお時間をたくさんいただきました。

 

さまざまなシチュエーションを考え、想像し、想定しながらプランを考え続けました。

 

ご要望に一部曲面の壁というものもあったので、巻貝のようなイメージを持ちながら、親族が集まる快適な空間というものを模索した結果、くつろいだり、楽しんだりする円形の空間を中心に、外周に向けてプライバシーレベルを高くする計画としています。

 

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内部空間を考えながら、外観のバランスを整えるのに何度もプランを調整しましたが、しっくりくるバランスにおさまり建築として定着させることができました。

 

お施主様にも気に入っていただき、プランの考え方にもご納得いただけたので、ひとまずほっとしました。

 

今回のプランで改めて感じましたが、お施主さんのご要望を深くくみ取り、建築の使用の仕方までを提案することが大切です。

 

プランを考える我々が想像の中で最初にその建築を使用するので、まず自分たちが納得しなくてはなりません。

 

部屋の広さや見た目は、あくまでどのように暮らしたいかということから導かれるもので、それが先立つような建築は住む人や使用する人が見えない、云わば商業的建築手法ということであると思います。

 

住まい手や使用する人のことを深く考え、施工してくれる方々と研鑽を重ね、唯一の素晴らしいものへ導くのが我々の存在意義であり、建築に対する最高のリスペクトであると考えます。

 

時間や労力は掛かりますが、少しでも素晴らしいと思う建築を造り続けたいと思う気持ちを高めていきたいと思います。