Monthly Archives: 3月 2017

東京建築探訪

偉人の建築に触れるのは、建築を考える上で最も重要なことであり、学びの基本であると考えています。

 

忙しくてそういった時間が減ってしまっているのを感じてはいますが、合間をみて訪れて感じるようには心がけています。

 

今回は、世界的有名建築家の磯崎新さんの処女作である木造住宅に訪れました。

 

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美術家である吉村益信氏のアトリエ兼住宅として1957年に建築されました。

 

白いモルタル塗りの外壁から、「新宿ホワイトハウス」と呼ばれ、今はカフェとして使用されています。

 

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カフェとして中に入ることができるというのは、とてもありがたいことで、住宅として建てられた場合は外観しか見ることができないということがしばしばあります。

 

中に入りゆっくりとカフェオレをいただきながら、その空間を感じることができ、とてもよかったです。
そして、イタリアのナポリのユースホステルで同室になったドイツ人が、磯崎新氏のことをすごいすごいと絶賛していたのを思い出しました。
ドイツにも名建築を残す磯崎新氏の処女作に触れるというのは、とても貴重なものです。

 

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寸法を意識しているんだろと感じさせる空間の容積はとても心地よいもので、建築の気持ちよさというものを感じることができます。

 

時を越えて活躍する建築というものは本当に素晴らしいです。

 

 

 

 

室内音響計画

設計中の住宅で、室内音響について計算しています。
建築において防音や遮音は比較的簡単で何度かそういった部屋を造ってきました。

 

心地よい音となれば、非常に難しく、建築の仕上げのバランスが重要になります。

 

今回は音響設備を設置する室が、リビングダイニングルームという計画なので、非常に複雑になります。
まずは、同等の室容積の整形な直方体の室として、適切な残響時間の設定のもと、各室内仕上げによる吸音量の検証を行いました。

 

セイビンの公式を使用した簡単な計算ではありますが、必要吸音量を算出し、想定した室内仕上げで吸音量がどれくらい足りないのか計算します。

 

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各仕上による吸音率とその部分の面積を乗じたものを足し合わせていくと、必要吸音量の半分にも満たないことが分かりました。

 

この結果は、最適な残響時間に比べ、倍以上も残響時間が長いということになります。

 

最適な残響時間に近づけるためには、吸音力の高いグラスウールの壁などをバランスよく配置するという対策が必要です。

 

計算上では、床を除く天井、壁の表面積の25%においてグラスウール32k厚25mm相当の壁を設置しなくてはならないという結果になりました。

 

最適な音響と、最適な室内仕上による空間の創出がうまく融合するところを見出すのに工夫が必要です。

 

これが建築のおもしろさでもあり、悩ましいところでもあるのです。